2008年 MUDA大賞

「MUDA大賞」とは、今年一年最も無駄だったと思われる事象を世の中に創出された「MUDA作品」として崇め、 MUDAから勝手に贈られるものです。名誉・不名誉は問わず評価されます。
( 主催:MUDA、後援:NO-OR )


ノミネート作品と受賞作品

【ゴールドMUDA大賞】首相の無駄な交代
 平成の20年間で、13回の内閣総理大臣の交代により14人の首相(竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、宮澤喜一、細川護煕、羽田孜、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎)が誕生した国、日本。
 2008年も、内閣改造後1ヶ月ほどでの福田氏の突然の辞意表明により首相が交代。記者会見で「あなたとは違うんです」という名言は流行語大賞候補にまでなった。高い支持率でスタートし、消費者行政改革や道路特定財源の一般財源化や消費税値上げ等による財政健全化などを明言、外交面では多国間協調を目指しサミット議長も全う、環境問題に関しては「クールアース構想」や「福田ビジョン」発表など一定の功績があるものの、評価されず存在感が薄かった。一方、消化試合と言われた自民党総裁選を経て第92代内閣総理大臣に就任した麻生太郎は漢字の読み間違いと曖昧な発言で迷走を重ね、支持率は低迷。閣僚の再任が多かったため、国民感情として、首相交代による期待感は無駄であったと考えられてのノミネート。
【シルバーMUDA大賞】無駄な投機による金融危機と経済変動
 世界的金融危機と株価暴落を生じさせ不必要に景気を後退させたサブプライム問題。尾を引いて2008年9月に証券会社リーマン・ブラザーズが経営破綻し、保険会社AIGの経営危機、ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)の資金調達難など、不安が不安をあおり証券市場は混乱に混乱を重ねた。アイスランドでは90%近い株価下落率を記録、ドバイでは投機筋の撤退によるバブル崩壊、日本では不動産大手アーバン・コーポレーションの黒字倒産、日本総合地所の内定取消しなど各所にさまざまな影響を出した。
 だが日本は世界的に見ればこの影響が少なかった方だと言われている。そのため円高傾向が強まり、自動車産業には大きな負担となって問題が拡大。派遣切りや契約社員の契約更新見送りなど雇用状況の悪化に繋がっている。戦後最長と言われた好景気の反動の大きさの無駄は計り知れないとしてのノミネート。
【ブロンズMUDA大賞】無駄な原油価格高騰と消え去った暫定税率議論
 投機筋によって生み出された問題は少なくない。原油価格の一時的高騰もそのひとつ。1バレル100ドルレベルに達した市場の混乱は、ガソリン・軽油等の市価の値上げにつながり、負担増大によって困難を極めたトラック業界では原油サーチャージ導入を検討しはじめ、漁業関係者はストライキを実施するなどに発展。そこで国会ではガソリンの暫定税率について議論され、国民的問題になった。
 リーマンショック以降は取引市場価格が急落、現在は円高の影響もあって以前よりも安価になっている。急激な価格変動による人々の不必要な不安と狼狽、消えたお金はかなりの無駄であったものと捉えてのノミネート。
メタミドホスと食品の無駄な産地偽装
 食品の安全に対する不信感を無駄に増大させた不必要な添加物メタミドホスとその他の薬品類、なくならない表示偽装事件の数々の戒めをこめてのノミネート。
タレント泰葉氏に向けたカメラ
 元夫の春風亭小朝氏との離婚後、暴言や脅迫まがい、大晦日格闘技参戦など数々の暴走行為を悲しんで。そっとしておいてあげてほしい思いでのノミネート。
大麻の使い方を学ぶ大学生
 相次いで問題となった有名大学での大麻使用の事実。大麻より楽しいことをキャンパスで見つけられなかった悲しい大学生に対するプレゼントとしてのノミネート。
秋葉原無差別殺傷事件で流れた悲しみ
 お門違いの怒りと不明瞭な動機、思いこみでの勘違いによって失われた命の重さを記憶し、二度とこのようなことが起きないよう願ってのノミネート。
タリバンによる邦人殺人
 アフガニスタンで活動していたNGOペシャワール会のボランティアが誘拐され、遺体で発見された事件。タリバンの愚かな行動を強烈に非難してのノミネート。
北京オリンピック開会式における過剰演出
 四川大地震の復興も見ぬままに、チベットで大暴動をよそに、強引に開催された北京オリンピック。口パク少女や合成花火映像など、空虚で過剰な演出の無意味さを楽しんでのノミネート。
ミニマム・アクセス米
 汚染米問題から、WTOの合意上輸入しなければならないMA米の存在が明らかに。輸入後、海外に支援米として送られるがその仕組みの非効率さを褒めてのノミネート。

評者コメント

 できるだけ明るいもの、おもしろいものを探そうと考えたものの、全体的に悲しいもののノミネートが多いこと。来年はこのようなことがないことを切に祈りたいところ。シルバーとブロンズが重なる部分があるため、悩ましいところだが、問題の大きさや無駄さにおいて、量・質ともに激しいものと考えて賞を決定。受賞に至らなかった7作品も、質的には受賞に相応しいと考えられる。
 選定サイドでの反省点として、今年は実験的に実施したため、未だに方針が確定していないところがあるので、来年以降は方法について検討する必要があるように思われる。


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