SNS批評

 ここのところ、海外SNSの日本版が上陸し出したので、代表的なサービスの感想を少し。

■mixi ( http://mixi.jp )
 いわずと知れた国内最大級のSNS「mixi」は、会員が1900万人を超え、ますます使いづらさを増していくように思う。人間関係の過密さという意味でもmixi中毒やmixi疲れに陥る人がいるようだし。また「書けない」症候群に陥っている人も周囲には結構いるように思う。いろんな人と繋がりすぎて、見られたくない人に見られてしまう怖さを感じている人も多いらしい。(この点に関しては公開の範囲設定でなんとかなるのではないかと思ったりするが、個人的に外部ブログユーザーはmixiの日記機能を利用できない都合確認できていない)
 そしてカスタマイズ性の弱さと外部との接点の弱さが大きな課題かと思う。RSSクロールがなかなか来ないこともしかり、携帯版では外部ブログへジャンプできないこともしかり。いろいろと検索をかけていると、広告収入と囲い込みの狭間で起きている問題が結構あると感じているのは、どうやら自分だけではないらしい。mixiを絶賛する本も出ているが、このままクローズな状態がどこまで許されるのか、若干の疑問もある。
 が、人の多さという最大のメリットと、女性への親和性が高いデザインはなかなか強いと思う。

■GREE ( http://gree.jp )
 知り合いでGREEユーザーはいないのだが、auユーザーなので入ってみた。
 初期設定がスムーズで、出身校を設定できるのがいいのだが、これだけの支援システムがありながらなんせ知り合いが見つからない。これが最大の問題で、楽しさを感じにくいのが痛い。この時点でちょっとばかし利用意欲が下がる。
 青のスッキリとしたデザインは清涼感があって、ビジネス関係者が多い利用者層に合っているかもしれない。アバターや小さめの文字でかわいらしさもあって、創設者が忙しくて会えない人と交流するためにスタートしたサービスらしく、職業人の休憩時間ないし休日っぽい印象がある。それはデザインだけでなく、シンプルな基本機能の影響もあると思う。
 外部ブログとの関係性は結構いい。RSSの反映が速いし、コメントもGREE内で残せたりする。このシステム回りは小規模の利点かも。

■MySpace ( http://jp.myspace.com/ )
 つい先日入ってみた。登録はオープン。
 一般ユーザーとアーティストユーザーの2つがあるが、後者は特に高機能なサービスが用意されている模様。一般ユーザーであっても、クリエイティビティがそこそこ保証されているところに、成長線を感じる。選択式もソース入力もできる高度なデザイン・カスタマイズ性が非常に魅力的。URLを取得すればオープンにできる点は、SNSとしてかなり進んでいると思う。
 基本機能面では、Twitter的なメッセンジャーにあちがちなステータス表示である「今ナニシテル?」がGOOD。いいアプリはちゃんと探せていないが、これもGOOD。「結婚・交際」欄が隠せないのはひっかかる。「独身」と「遊び人」の選択基準はどうすればいいものか…。
 カスタマイズ性が高いために、全体の一貫性が失われやすいのがジレンマとしてある。ところどころに基本デザインの弱さもあるが、個人的には好きな方。

■Friendster ( http://www.friendster.com/ )
 老舗SNSの日本語版ということで、テキストベースなデザインが少し古くさい印象を与えているのが減点要素。また英語版の「My○○」を、全部「私の○○」と訳してしまっている辺りで日本語化の失敗の疑い。反対に「クラシファイド」とか肝心なものが訳されていないし、さらに地名選択で正確に選べないのは決定的なミス。β版なのだとは思うけど、もう使う気がしなくなる。
 アプリはあるけど、それ以前の問題が多いかも知れない。

■Facebook ( http://www.facebook.com/ )
 学生起業家によるものとあって、自分も学生として、いい感じ。特にwebCTに似たスマートなデザインが好きだ。
 登録の際思ったのが、ひょっとするとGREEの出身校設定なんかはここから来ているのかも知れないということ。学生のつながりは最初は学校のつながりなので、悪くないと思う。
 こちらも海外からの上陸なので、日本語化できていないのが、ノート(日記・ブログにあたる)のタイトル。自分のサイトのものをインポートさせると、エンコードが間違っているのかHTMLエンティティで表示されてしまう。多分ここだけミス。
 ユーザー制作のアプリなんかが豊富で楽しそう。

■Cyworld ( http://jp.cyworld.com/ )
 韓国人最大のSNSの日本版。mixiと色が一緒?! なかなかデザインが優れている。日本版としてしっかりしているし、韓国のニュースなども配信されるなどの特有サービスも加点要素である。
 本名は検索用のみになっているので、一定のプライバシー配慮がなされているように感じる。(多分GREEも…)
 特徴的なのは「ミニホムピィ」というかわいらしめの簡易サイトのようなものを持つことができること。友達同士の関係性よりはコミュニティ機能が優れている模様で、コミュニティページのカスタマイズ性があっていい。韓国人と交流できそうな、Twitter似のひとこと掲示板コーナーもあったりして、コリアン文化について関心がある人などにはもってこいのオリジナリティが評価できる。ユーザー固有のURLももらえ公開できるのもいい。
 気になる欠点は、ミニホムピィが別ウィンドウになってしまうこと。

■Windows Live
 HomailユーザーとWindows Live MessengerのSNS的な部分がこれ。利用者が少なそうなので、コメントの必要性もなさそう?! 疲れてきたので今回はパス。

 他にも書くべきだろうと思うのだが、次の機会にして総評を少々。
 全体的に見て、海外系は日本でのローカライズが最低限乗り越えるべき壁。どのサイトもそれぞれに長所があるが、それぞれに異なった短所がある。一長一短、まさにというところ。国内勢も低レベルな合格点しかつけられないような印象も出てきた。mixiはデザインの変更、ミュージックサービスの導入などをし出したが、利用頻度の高いサイトであるからこそ、今後も新しさへの挑戦が求められるのではないだろうか。

 さて、ここのところSNS関係のことを調べている関係で、「 Affelio 」なる、ちょっと変わった「完全分散協調型SNS」のことが気になった。
丸田一『ウェブが創る新しい郷土 ─ 地域情報化のすすめ』(講談社現代新書、2007)
( http://www.amazon.co.jp/dp/4061498738 )
丸田一「智場web:SNSが示す三つのネットワーク世界観」
( http://www.glocom.ac.jp/j/chijo/text/2006/06/sns_glocom.html )
 同じ論者の文献しか見つからず評価しにくい。そこで、実際にそれを体験してみようと思ったのだが、ダメ。もう既にサービスが終了しているらしいから、さぁ困った。
 もしアフェリオについて、詳細をご存じの方がいればご連絡いただけるとありがたいところです。
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