舞鶴:オリンパスOM-1

 押入から引っ張り出してきた、オリンパスOM-1。もう何十年も前のカメラである。35mmフィルムの一眼レフとしては画期的な軽さと、電池が切れてもシャッターが下りるという素晴らしいシステムを導入し、ヒットしたものである。
 すでに製造が中止されている水銀電池の代用品となる、酸化銀電池をネットで購入して入れてみる。ファインダー内の照度計が動かない。そこで、先日これを分解。
 カメラの修理にはかなりの費用がかかる。自分でやろうと思っても、上部を開くにはカニ目とよばれる特殊な工具などが必要になる。ドライバーでなんとかなる範囲まで開いてみたのだが、困った、困った。レンズ受け部分を分解してみたのだが、ゼンマイがもうゆるんでいるようなのと、ごちょごちょいじっている間に歯車がどうも外れたらしいという思わぬ方向に。ガーン。それから結局のところ10日近く経ついまもなおってはいないのだが、とりあえずの目安となる数値で合わせることにして、元の形に戻している。
 カメラに疎い自分がOM-1を首にかけ、18切符を右手に、左手に星新一の文庫を持って電車に乗って行ったのが、舞鶴。朝に弱い自分が比較的ゆっくり行けるので選んだ行き先である。言葉は悪いが、観光地という観光地でもないと思う。だが、カメラの調子を見るには悪くないと思う。
 鍼灸大はやっぱすごいとこにあるなと思いながら揺られること3時間、着いたのは西舞鶴。北タンゴ鉄道との接続駅であるため、天の橋立に行く人などが見受けられる。人少ないのに駅が異様にキレイででかいよ。ネット上で公開されているモデル観光コースを歩いてみることにする。
 おっと、まずフィルムを買わねばならない。失敗する可能性が十分に考えられたので安いのがいい。ある店で見ると、500円近くする。んー。レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)が399円で、なぜそれより高いのか。諦めて歩くとカメラのキタムラを発見。さすが、130円でDNPのフィルムを入手。ありがとう、キタムラさん。
 旧城下町の西舞鶴は街道が集まる。住所にも京口、宮津口など街道の起点を連想させる名前が付けられていて、民家も落ち着いた空気を醸し出している。人がいなくなってどんどん駐車場になるから見栄えもしないね、と語るおじさん。
 愛宕山という里山程度の裾を辿ると、面白いのが寺と神社がやたらに多いということに気づく。50〜100mにひとつはある。山に向かう道の終点が神社か寺になっているという構図。日本のムラの説明でよくなされるようなことが当てはまっているように感じる。
 寺と神社が繋がっていたりする。こんなことだから日本人の信仰を外国人に説明するのはホントに難しいと思う。この間サウジアラビア人にイスラムのお祈りの時間について尋ねていたときに、彼が「仏教徒も祈るのか」と訊かれたものでどう説明すればいいのか本当に悩んだ。大晦日には寺に行き、正月には神社に行き、人の結婚式はチャペルに行き、神社の御輿をかつぎ、クリスマスにはチャーチにも足を運ぶというのを何と言えばいいのか。八百万の神と言っても、一神教がいっぱいいる多神性の共生を、絶対神を信仰の対象としている彼に理解してもらうのは拙い英語力では困難を極めたのを想い出す。
 閑話休題、道を進む。ちょっと話を飛ばして東舞鶴から。サンダルを履いたロシア語のTシャツを着た外国人の一団に囲まれて戸惑いながら改札を出る。港町らしい。
 東西に貫く道には、朝日通、三笠通など戦艦の名前が、また南北の道には一条、二条と京都のような名前が付いている碁盤の目の市街が広がる。レンガ倉庫を目指して歩いていると、ところどころに文化財的な建物が散見される。低気圧の影響でえらく潮位が高い海には、灰色のものものしい船も浮かんでいる。
 舞鶴。何がいいって、観光客がかなり少ないのがいい。平日ということもあろうが、それらしき人は両手に収まる程度しか見なかった。邪魔されないし、人を気にせず写真を撮れるので助かった。何がめぼしいかと言われると、ご自分でご確認をとしておきたいが、知らない道で帰るちょっとした冒険をした小学校の下校みたいな小さな旅にはいいところだと思う。箱庭みたいな海を眺めてぼーっとするには悪くないだろうけど、ただ電車が一時間に1本ぐらいなので時計がないと落ち着かない。なんせ、次を逃すと家に着くのが23時…。
 小浜線で敦賀経由で帰ろうかと思ったけど、2時間立ちっぱなしになると思うとしんどい。嗚呼へたれ、福知山行きに乗る。
※中身らしい中身は全く書かないことにしました。真井の清水、芸車台、レンガ倉庫、引き揚げ・岸壁の母、軍艦・カレー、肉じゃがなんかがキーワードかな。行かれる方は、「丹後歩き観光情報サイト のんびりぶらぶらホームページ」の地図を印刷していくといいかと思います。
※写真は後日アップロード予定。ってか、フィルムは現像・プリントに1200円もした…。コストかかりすぎるし、これが最後だと思う。
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