促進:2 Walkers・1 rythme

 瀬谷ルミ子職業は武装解除』(朝日新聞出版、2011)を読んだ。衝撃的なタイトル、30代の若さで「世界が尊敬する日本人25人」(Newsweek日本版)に選出された著者と書かれた帯。久しぶりにした書店でのジャケ買いだった。
 著者は日本紛争予防センター(JCCP)というNGOの事務局長で、紛争が終わった地にすぐに入り武装解除を支援するプロフェッショナル。ルワンダ、シエラレオネ、アフガニスタン、コートジボワール、ソマリアなどで、和解・武装解除・復興支援を行ってきた。
 書いてある内容は、自分のように国際関係学などの専門でない殆どの方にとって、非常に得ることの多いものだと思う。武装解除といっても単に武器を回収するだけではない。DDR=武装解除(Disarmament)・動員解除(Demobilization)・社会復帰(Reintegration)を指し、武器と交換に当面の食料や現金を供与して、職業訓練などを通した兵士の文民化による社会を安定化を図るまでがプロジェクトとなる。身を守る武器を手放させるだけの瀬戸際の駆け引きの様子には、映画以上に臨場感がある。また社会復帰させるための総合的な施策を考える姿に尊敬してしまう。
 
「ちなみに、私たちは、和解や共存を促進するためのプロジェクトを行うときに、『和解のために』とは絶対に言わない。その呼びかけに参加する人たちは、すでに和解することに前向きだからだ。『和解』という言葉も聞きたくない、参加したくないと思う人たちにこそ、私たちがアプローチしなければいけない。/まずは、民族の違いを超えて参加したいと思ってもらえるような、共通の関心ごとで活動内容を考える必要がある。」(P.158)

 これは当然と言えば当然のことであるが、こういったアプローチについて学校ではあまり教えられることはなかったのではないだろうか。関心のない人を動かさなければ、社会を変えることはできない。目的に対して直球でないもので、自然と風を見方にしてストライクに入るアプローチがある。対立は共通項をつくり続けることで解消する。おそらく社会のさまざまな場面でも有効な方法論だと思う。
 そして、支援者としてあるべき姿としては、両者の歩調が自然と同調するように歩み寄らせながらも、当事者に含まれてしまうことのないようにしなければならないということがある。当事者が支援に頼りすぎれば自立できなくなってしまう。内的活力を引き出すこと、つまりはアウトソーシングではなく、コーチングの仕事を提供するのだ。支援者の存在意義をなくしていくようにするのが使命であるのが真の姿であるというのは、癌細胞の逆バージョンというか何というか。かの地震からの復興支援でも、同じことが言えるのではないだろうか。

 読んで印象に残り、書き出したいことはあまりに多いが、やはり荒削りでも真実味がある本人の筆致を読む方が、感じるものが大きいと思う。
 日本には彼女のようなスキルのある人が非常に少ないという。平和・中立的なイメージから日本を好意的に思い信頼する人々が多い地域でいてニーズもあるのに、動ける日本人がいない分野。勿体なさを強く感じてしまう。彼女のあとに続く人が多く生まれることを望む者として、できることは少ないが、まずはこの本を勧めることにする。
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