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第1回テーマ 「国民投票法をめぐって」

 衆参両院を通過し、成立した国民投票法について検討しました。

 最低投票率を中心に議論が展開され、憲法改正に関心を持たない人をどのように考えるかで少し意見が分かれ、関心が高まらない中での国民投票であってはならず最低ラインの設定は必要ではないか、最低投票率の設定によって投票しないことが護憲となるのも非合理ではないかなどの意見が出されました。

 近年の日本の選挙では投票率が高まらず、政治無関心が強まる中にあって憲法問題が全国民的議論にならなければ、との懸念は、参加者の多くが感じているようで、そのことへの対応として、最低投票率の設定、不投票に罰則を付する、そもそも関心のない有権者は参加しなくてもよいのではないかといった意見へ分かれたのではないかと思います。

 この法律の必要性に関しては、最低投票率のほか、メディア規制や教員の発言規制などの詳細に関しては課題も多いものの、憲法の改正手続法の不存在は好ましくない状況であったことでは一致した意見が見られました。

第2回テーマ 「自民改憲案:自衛軍明記をめぐって」

 憲法9条をめぐる議論は戦後一貫して繰り広げて来たものの、9条2項と自衛隊の存在の矛盾に関しての指摘は今もなお残ります。

 自衛隊は世界第5位という軍事力の点からも世界的には軍隊に他ならず、2項とは一致しない。海外への派兵の必要性もあり、解釈改憲は限界に達している。現代の東アジア情勢からも、日米安保からも必要であり、解体することはできず、また国連憲章でも国家の自衛権は保障されていることを鑑みても、自衛軍を持つことを9条の2として明記することに賛成する意見が多数派を形成しました。

 少数の極論的反対立場としては、現在の自衛隊の存在が2項と矛盾するからといって憲法を改めるのは現実肯定主義に陥るものであり、自衛権は認められているとしても放棄することは禁止されていないと解すべきで、現代情勢を鑑みても本来の先進的な平和主義を貫くために完全な軍事放棄に向けた努力をし、これをブランドとして確立させる手もあるのではないかという意見も出ました。

 理想論と現実とのギャップへのジレンマと、現実への認識の違いが少し露呈し、この点から立場の対立が生じたものと思われます。具体的問題としての集団的自衛権などの話題へは時間不足で到達しなかったものの、表面的ではない議論になったものと思われます。

第3回テーマ 「効果的な討論をめぐって」

 今後の運営方針を確立すべく、これまでの試行錯誤から討論の方法の検討と、この自主ゼミの目的の確認を行いました。

 社会問題に関心を持ち、柔軟に他者の意見を考え、論理的な自分の意見を構成できるようにする、という発起人が想起した設立趣旨に賛同が得られ、具体的にはどのような討論の仕方が好ましいのかに時間が割かれました。

 ディベートの問題点、プレゼン形式の問題点などを挙げて、表面的な議論の応酬にならず、議論を論理立てて展開しているかを精査するためには前提知識が必要ではないか、そのために事前学習会を開くべきではないかということで一定の合意に至りました。