修飾:就職から一年

本日のレシピ:
「和風チャイニーズパスタ feat.不機嫌なベジタブルズ」

(1) 下ごしらえ
 たとえば疲れたフリをして、うっかり3時間サスペンスホラー映画「暴眠男子」の主演を果たす。目覚めたら、時計を見る恐怖を軽減させるため、時間の流れを決定づけているのは、民主的に総意を信託された法律などによるものではないと信じ、重力への反逆を遂げる。

(2) 仲間の獲得
 ご飯を炊く時間でもなくなってしまったことに後悔しながら、冷蔵庫というジャングルを突き進みながら、何を喰うことができるかを検討。1秒未満の熟考を多重に行いながら、物理的な上から目線で仲間を捜索する。
▼崩れかけた白菜(既に本来の肉体の3/4を失った形でスーパーの野菜売り場で寝転がっていたのを数日前に確保し、我が家のジャングルへ連行していたもの:45円の身代金を支払い済み)
▼やや褐色を帯びつつあるしなやかなもやし(先々週に使用した反抗的な異臭を放つものの兄弟ではあるが、今回は抵抗力をつける前のさわやかさのみを失っただけのもの:およそ14円/100gというコストパフォーマンスの高さから売上高がデフレの指標ともなっている可哀想なお方への同情は愛情に変換済み)
▼よれよれのスーツを着た疲れたサラリーマンのような水菜(モスグリーンの肉体のうち1割程度が大阪湾に浮く油分を連想させるかのようにしっとりとしており、修羅場と濡れ場の経験を感じさせるもの:98円を支払うからやさしくしてほしいと心の中で言ったのに、レジのおばさんがレーダーで攻撃したかと思えば、今度は手のひらでハグをしてみたり、ツンデレ具合を見せられたあと買い物カゴに入れられたというエピソードがあるファミリーの一人)
▼東京砂漠で孤独感を感じているひからびた人参(先週焼きそばを食べる人間にその下半身を提供した心優しさの発揮ぶりがうっかり無視され、ジャングルに放置された悲しさを身に纏っているもの:大根というでかいだけでまだ青白い輩の下敷きになっていたところを100時間ぶりに救出された)
▼暗いところでこそ静かなる成長力を発揮する榎茸(袋に閉じこめられたままうっかり子育てを放置されても肉体の増強を図るたくましさを兼ね備えたもの:別れろという指示を的確に聞き入れてしまうような、言いなりになる弱さもまだ残っている)
 以上の仲間を、「温泉でゆっくりできるよ」と偽って旅に誘うと、疲弊した会社人生と日頃の私生活の崩壊ぶりからから、きびだんごも渡していないのについてきてくれたりするので喜ぶフリをして、しめしめと思う。彼らを今後「不機嫌なベジタブルズ」と認定し、勝手にプロデュースする。(今後野菜室のドンと化している大根、緑色のインパクトはベジータより強いホウレン草もいたが、今回は持ち上げられるだけの腕力がなかったため見送る)

(3) 入浴シーン
 雪平鍋から沸騰した水がボコボコと独り言を唱え始めたら、崩れかけた白菜をさらに崩してバラバラにした後16等分ぐらいにしてしまってから、お風呂に入れてあげる。人参は身ぐるみを矧がしてスライスしてからの入浴、もやしはユーフォーキャッチャーのモノマネをしている右手で強制連行、水菜はざくりざくりとキッチンばさみでシュレッダリングされながら投入され、榎茸はM字開脚プレーを楽しみながら割かれてダイブ。そんなこんなでみんな楽しい入浴。これを物理的な上から目線で盗撮する。

(4) 焼きそばの誘拐
 3兄弟セットで売りに出されていた焼きそばの三男を誘拐し、レンジという我が家の金庫室へ閉じこめてみる。真っ暗では可哀想かと思い、灯りをつけるため1分30秒とディスプレイに表示させてからスタートボタンを押してあげると、中で三男が回り始めるので、それを陽気なやつだなと思いながら終始見つめる。

(5) 味付け
 入浴を終えた不機嫌なベジタブルズを湯から上げ、日頃の怒りを湯気というものに変えて訴える彼らに、液体だしを与え、醤油を垂らして「しょうゆーこと」と言いながら、雀の涙ほどの給料の如くみりんを垂れ流したりしたあと、4月1日付けの理不尽な人事異動通知書の如く水溶き片栗粉を入れながら回す、回す、引っ掻き回す。(その際、職場での上司・先輩達を戸惑わす自分が連想されるが、あえて気にしないことにする) そうしつつ、熱くなりすぎたことを反省させるため、火を止め、冷却期間を置こうかと考えるが、すぐに別行動を起こす。

(6) 盛りつけ
 幽閉していた焼きそば三男が身につけていたものを奪って裸にした後、さらに皿に晒す。そこで不機嫌なベジタブルズと突然ながらの見合いパーティを開いて盛り上げてみる。そして、できちゃった多重結婚。

※今の気持ちを表す、いい修飾詞が浮かばない。
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